オーナーインタビュー

BESSの暮らしはどうですか?
「ログハウスでの暮らしってどんなもの?」「田舎暮らしに憧れているけど…」。木の家での暮らしを思い描いている方へ、BESSのログハウスや個性派住宅にお住まいのご家族の実例をご紹介します。新たな暮らしを始めた経緯、用途により異なるログハウスのスタイル、家づくりへの思いや暮らしぶりなど、ぜひ参考にしてください。

ワンダーデバイス

いつも家族の顔をみながら、自然体で過ごす毎日。

森のカフェみたいなたたずまい

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リビングの隣の一室は、当初家族で多目的に使うつもりだったが、忍者屋敷みたいな雰囲気を気に入り、今は長男がすっかり占拠している。

「緑色の四角い家ですから」

保育園に通う上のお子さんの家庭訪問のとき、保母さんにそう伝えたら、すぐ分かってくれたそうだ。ご夫妻は「弾薬庫みたいな色」とおどけるけれど、この緑(モスグリーン)は周りの自然とうまく馴染んでいる。森にたたずむカフェもしくは雑貨店といった趣さえある。

壁に書かれた「WD05-FEST」の文字は、この家のモデル・ワンダーデバイスのWD、家が完成した2005年の05、FESTはお祭りの意味ではなくて、家族4人のイニシャルになっている。家の建築が始まったとき、ちょうど長男が生まれた。だから当時はFESまで。そして昨年7月に二人目が生まれ、彼のイニシャルTが加わった。

大きな家ではないけれど、4人で暮らすのには適度な大きさだと奥さんは言う。気に入っているのは、空間に自由度があることだ。1階のリビングダイニングの奥の一室は、当初家族が多目的に使うつもりだったが、回転扉の楽しさとその奥に広がる秘密基地みたいな雰囲気が、男の子心理をがっしり掴み、今はご長男がすっかり占拠している。

「それはそれでいい」とご主人。「みんなの顔がいつも見られる」からだ。I家では家族が過ごすのは自然と1階になるそうだ。「2階は寝室と第2のリビングみたいにして使っていますが、子どもたちが大きくなったら、それぞれ子供部屋にしてもいいですし。最初からこうと決めないで、その時にいちばん使いやすいようにすればいいと思っています」

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「家族が近い」と思える感覚が心地いい

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コンパクトでシンプルな間取りのため、薪ストーブひとつで家じゅうがすぐに暖まる。それに適度な大きさは、家族がいつも近くに感じられていい。

初めてのお子さんができたことを知ったとき、これから家族も増えることだし、家を建てようと決めた。展示場など見て回って、木をふんだんに使った家がいいなと、家づくりの方向性も見えてきた。そんなころビッグフット(当時)に出会った。

木の質感が家の内外に生きている雰囲気が気に入った。自然体を大切にするコンセプトも自分たちの考えに合っていた。ログハウスにも憧れたけれど、サラリーマンの自分にはメンテも大変そうだし、予算も少しオーバーしそう。だから、ちょうどワンダーデバイスがモデルのラインナップに加わって、「これしかない!」と飛びついた。まさに渡りに船だ。

家が出来上って、自分たちの選択はやっぱり正しかったと思えた。ログじゃないけど、木のよさがあふれていることはこの家も同じで、家の中にいて心も体も和んでいく。裸足で歩いても気持ちがいい。子どもも安心して育てられる。

サイズも自分たちの暮らし方にジャストフィットした。初めから、家によそよそしさを感じることなく、すんなり馴染めた。玄関を開けてすぐにリビングという気安さが、着なれたシャツをまとっているみたいに思える。「家族が近い」と思える感覚が心地いい。絶対置きたいと思っていた薪ストーブも、すぐに家中を暖めてくれる。ご主人などは、仕事から帰ると冬でもTシャツで過ごすそうだ。

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「うちには廊下も屋根もないよね」

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木のぬくもりあふれる空間に、ブランコやハンモックがよく似合う。この家ができた年に生まれた長男も、昨年生まれた二男も、たくさん楽しい思い出をつくっていくはずだ。

「ワンダーデバイス」の”デバイス”とは、もともと装置とか道具という意味。住む人が自分にふさわしいものを選んで、カスタマイズすればいい。潔いよいまでのシンプルなデザインも、そんなメッセージの表れだ。自分たちのスタイルに応じて、暮らしながら仕上げていく自由さこそ、家をもつことの意味だと考える人にピッタリの住まいである。

初めに触れた通り、Iさんがワンダーデバイスを気に入ったのもそこに理由がある。薪ストーブを家の中心にして、当時の基本プランにはなかった折れ階段にした。デッキをたっぷり広くとって、子どものプールを置いたり、友人を呼んでバーベキューや手作りピザを楽しむ。家全体の空間に一体感を持たせたけれど、「お客様がみえたときキッチンは隠しておきたかった」からオープンキッチンは選択しなかった。リビングにブランコが吊ってあったり、2階の共有スペースにハンモックがあったりしても、ごく自然に見えるのは、この家がワンダーデバイスだからであり、この家がIさん一家の我が家だからだ。

保育園に通うご長男が、友達の家に遊びに行って、家というものには「廊下」というものがあることを初めて知ったという。「うちには廊下がないね」とぽつりと言ったのを、「そう言えばそうだね」と家族みんなで笑ったそうだ。「屋根もないよね」と言って、また笑顔が広がった。まあ「いわゆる普通の」屋根はないわけだ。

でも、廊下や屋根がないこの家を、誰にも負けないくらい気に入っているのも、家族に笑いを振りまいた彼だろう。このワンダーデバイスと同い年の彼は、今年の春小学校へ上がる。つい先ごろ前歯の乳歯が抜けたのを嬉しそうに見せてくれた。

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「今年は野菜作りの腕を上げます」

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リビングの窓からは、里山の緑が見える。前に家がないから、見晴らしがいい。「それはとても気分いいんですけど、いま庭に植えてあるのが落葉樹ばかりなので、冬になると外から中もよく見えるんです。今年は何か植えようかな」

田舎に暮らすBESSの家には庭づくりの楽しみがあるし、周りの自然が豊かなのと、敷地が広いのは、この家の”デバイス”らしさを発揮するには好都合だ。取材にうかがった日は、あいにく雪模様だったけれど、子どもにとっては庭もちょっとしたゲレンデになる。すぐにソリを持ち出して滑り始めた。

「僕もアウトドアが好きなので、子どもたちがもう少し大きくなったら、一緒にキャンプに行ったり、釣りに行ったりしたいですね」とご主人が言うと、「ウッドデッキにテントを張って練習できるね」と奥様。家が遠征隊のベースキャンプみたいで格好いいではないか。

庭にある倉庫は、キットを買って自分で組み立てた。最近、家庭菜園も始めた。聞くところによると、このあたりは、猿や猪、それに熊まで見かけることがあるそうだ。ある時は、両手にかぼちゃをひとつずつ抱えて歩く猿を目撃したとか。

I家の畑の実りを心配すると、「うちは大丈夫だったんです。彼らも野菜の味が分かるんですね。ちゃんと上手なお宅の畑の野菜を持っていくんですよ」(笑)

ご主人の今年の目標は、猿たちに認めてもらえる野菜をつくることだそうだ。